飲む日焼け止めのフェーンブロックって効果あるの?「スキンケアカウンセラー・薬剤師が解説」

飲む日焼け止めのフェーンブロックって効果あるの?「スキンケアカウンセラー・薬剤師が解説」

先日のことです…。

「飲む日焼け止め飲めば、日焼け止め塗らなくていいかなぁ」

知人から突然、飲む日焼け止めにつあて質問されました。

即答で「そんな夢みたいなことないから、ちゃんと塗って!」

と答えたものの、実際どの程度エビデンスがあるのか疑問に思いました。

たしかにインターネットを検索すると、飲む日焼け止めのオススメやらランキングやら広告が溢れてます。

誇大広告も多く、本当に飲むだけで日焼け止めの効果があると信じる人が出てしまうのも仕方ないのだろうなぁと思ってしまいます。

飲むだけで日焼け止め効果があることはないのですが、全く意味がない!かといえばそうとも言い切れません。

そこで飲む日焼け止めで一番有名かつ、もっともデータが揃っているFernblock(フェーンブロック)について詳しく調べてみましょう。

フェーンブロック

フェーンブロックはCantabria Labs社のHELIOCARE(ヘリオケア)製品に使われている特許技術です。

中南米に自生するシダの一種のPolypodium leucotomosから抽出される成分(PLエキスとも呼ばれる)をフェーンブロックといい、塗る日焼け止めや飲む日焼け止めに使われています。

他社からもPLエキスが販売されていますが、あくまで多くのデータがあるのはヘリオケアに使われているフェーンブロックなので注意して下さい。

フェーンブロックは塗ったり飲んだりすることで、4種類の放射線(UVB、UVA、可視光線、IR)による即時の損傷(火傷)と長期による損傷(皮膚の老化、シミ、防御力の喪失、アレルギー、皮膚がん)の両方を防ぐとされています。

実際の商品はこちらになります。

並行輸入品になりますので心配な方はアジア限定商品もあります。

ロート製薬がこのフェーンブロックに独自の成分を配合して発売した商品も販売されています。

基本的にどの商品も同じと思っていいと思います。

さて、先に商品を紹介してしまいましたが、実際の効果はどの程度なのでしょうか?

次の論文にはフェーンブロックのデータが要約されています。

この論文に記載されている内容を少しピックアップしてみましょう。

Fernblock (Polypodium leucotomos Extract): Molecular Mechanisms and Pleiotropic Effects in Light-Related Skin Conditions, Photoaging and Skin Cancers, a Review

C Parrado et al. Int. J. Mol. Sci. 2016, 17(7), 1026

PLエキスの成分

PLエキスの有効成分とされているのは、何種類かのポリフェノールです。

p-クマル酸、クロロゲン酸、カフェイン酸、フェルラ酸、バニリン酸のポリフェノールが含まれていることが知られています。

特にカフェイン酸とフェルラ酸が強力な抗酸化作用があります。

PLエキスの光防御作用

紫外線はさまざまなメカニズムで皮膚の光老化や光発がんを引き起こすと言われています。

PLエキスはこのメカニズムを介して紫外線によるダメージから防御してくれます。

そしてこの防御作用が光老化や光発がんを予防すると考えられています(あくまで可能性ですけど…)。

いろいろなメカニズム、たとえば…

TNF-α、iNOS、NF-κB、AP-1、COX-2の阻害による抗炎症作用

紫外線によるミトコンドリアDNA損傷と変異を抑制

皮膚の免疫抑制を阻害

などなど、さまざまな機序が知られています。

では実際に日焼け止めとしての効果はどうでしょうか?

いくつか論文を見てみましょう!

論文紹介

まずはこちら。

日焼けに対するPLエキスの局所、経口投与の効果を検討しています。

日焼けに対するPLエキスの効果

Topical or oral administration with an extract of Polypodium leucotomosprevents acute sunburn and psoralen‐induced phototoxic reactions as well as depletion of Langerhans cells in human skin

S González et al. Photodermatol Photoimmunol Photomed. Feb-Apr 1997 ; 13 (1-2) : 50-60.

RCTではなく、プラセボ群もなくエビデンスレベルは高くない論文になります。

21人の健康成人を対象(光増感剤ソラレン投与もしくは未治療)。

日光による紅斑、メラニン生成について評価。

PLエキスの経口摂取による効果、MED(最小紅斑線量)は平均2.8倍に増加。

要するにSPF3弱の効果ということになります。

20年以上前からデータが集められていることがわかりますね、このあとどれくらいデータは蓄積したのでしょうか?

ということで次はこちらの論文です。

悪性黒色腫ハイリスクの人に対するPLエキスの効果

Benefits of Oral Polypodium Leucotomos Extract in MM High-Risk Patients

P Aguilera et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2013 Sep ; 27 (9) : 1095-1100.

この論文は皮膚がんの一種、悪性黒色腫の罹患リスク患者さんに対するPLエキスの効果について論じています。

これもRCTではないですし、プラセボ群もないのでエビデンスレベルは高くない論文になります。

総投与量1,080mgのPLエキスを2日間かけて経口摂取。

投与前後のMEDを比較しています。

PLエキス投与前の平均MED=0.124±0.04 J / cm

PLエキス投与後の平均MED=0.161±0.05J / cm

有意差はあるけどSPFとしては1.3程度の差になります。

PLエキスの効果は少なからずありますが、塗る日焼け止めなしで太刀打ちできるレベルではありません。

悪性黒色腫の罹患リスク患者さんではなく、健康成人に対してはどうでしょうか?

こちらの論文を見てみましょう。

PUVAの光毒性に対するPLエキスの効果

Orally administered polypodium leucotomos extract decreases psoralen-UVA–induced phototoxicity, pigmentation, and damage of human skin

Middelkamp-Hup MA et al.J Am Acad Dermatol. 2004 ; 50(1) : 41-49.

いろいろな皮膚疾患の治療に活用されるソラレンUVA(PUVA)。

PUVAは急性の光毒性や長期的な色素沈着、さらには発がん性の副作用のリスクが知られています。

この論文はPUVAに対するPLエキスの予防効果が検討されています。

10人の健康成人を対象の研究。

7.5mg/kgのPLエキスを経口摂取。

臨床的にはPUVA実施後48-72時間の急性光毒性と4ヶ月後の色素沈着の抑制。

組織学的にも皮膚保護的な効果が認められています。

症例数が少なくRCTでもないので、「PUVAによる皮膚へのダメージを軽減するかも?」くらいに思っておくといいでしょう。

同じ筆者でもう一つ。

紫外線に対するPLエキスの組織学的な効果

Oral Polypodium leucotomosextract decreases ultraviolet-induced damage of human skin

Middelkamp-Hup MA et al. J Am Acad Dermatol. 2004 ; 51(6) : 910-918.

こちらは紫外線に対する皮膚への保護効果を組織学的に検討しています。

肌タイプⅡとタイプⅢの健康成人9人が対象。

7.5mg/kgのPLエキスを経口摂取。

人工紫外線の影響を比較しています。

紫外線照射24時間後の紅斑はPLエキスの摂取により減少。

組織学的にも皮膚保護的な効果が認められています。

こちらも症例数は少なくRCTでもないので、データの評価は慎重であるべきです。

ということでDouble-blindのRCT試験のこちらの論文。

肝斑治療におけるPLエキスの効果

A Randomized, Double-Blinded, Placebo-Controlled Trial of Oral Polypodium leucotomosExtract as an Adjunct to Sunscreen in the Treatment of Melasma

Ahmed AM et al. JAMA Dermatol. 2013 ; 149 (8) : 981-983.

こちらの論文は肝斑治療に対するPLエキスの補助的な効果をRCT試験。

対象はヒスパニック系の健康成人33人(40人から7人ドロップアウト)。

PLエキス240mgを1日3回に分けて12週間、経口摂取。

PLエキスとプラセボが1:1になるようにランダム化。

基本処置として4%ハイドロキノンと日焼け止め(SPF 50+)が全ての対象に塗布されています。

メラニンインデックス(メラニン量指数)、MSAI(肝斑の面積と重症度指数)スコア、MelasQOL(肝斑関連生活の質のアンケート)スコアを比較しています。

メラニンインデックスは減少傾向ではありましたが、それでも有意差はありませんでした。

MSAI・MelasQOLスコアはどちらも変化なくあまり期待できる効果はなさそうでした。

とはいえヒスパニック系の人種データになりますので、できればアジア人のデータが知りたいところです。

ということで次はアジア人のデータになります。

アジア人の肝斑治療におけるPLエキスの効果

Double-blind, Placebo-controlled Trial to Evaluate the Effectiveness of Polypodium Leucotomos Extract in the Treatment of Melasma in Asian Skin

Chee-Leok Goh et al. J Clin Aesthet Dermatol. 2018 ;11(3) : 14–19.

肌への効果は人種によって違うので、アジア人のデータが重要になりますが、これまでPLエキスのアジア人データはありませんでした。

こちらは論文はアジア人の肝斑に対するELエキスの補助的な効果について検討したデータになります。

肝斑治療における経口PLエキスの効果と安全性が検討されています。

Double-blindのRCT試験なのでエビデンスレベルは高い研究といえます。

では、内容はどうなのでしょうか?

PLエキス480mgを1日2回に分けて12週間、経口摂取。

PLエキスとプラセボが1:1になるようにランダム化されています。

評価はMSAIスコアとMelasQoLスコアです。

前述の論文と同様に、全ての対象は4%ハイドロキノンの局所塗布と日焼け止め(SPF 50+)が塗布されています。

どちらもプラセボよりスコアは改善していますが、有意差はありませんでした。

ちなみに副作用も認められてはいません。

PLエキスの経口摂取によりプラセボよりスコアは大きく改善していましたが、症例数の少ないため有意差がつかなったかもしれません。

PLエキスは肝斑治療に有効かもしれませんが、現段階ではあくまでも可能性があるかもといった程度にとどまっています。

安全性

どの論文にも副作用はなかったと書かれています。

しかし安全性、副作用についての科学的な根拠は示されていないので注意が必要です。

フェーンブロックに限らずサプリメントを紹介するブログなどに植物由来なので副作用はありませんと記載している記事を見かけます。

そんなことはありません。

アレルギー反応はどんな物質でもありますし、副作用も同様です。

論文はどれも症例数が少ないので予期せぬ副作用が起こる可能性は否定できません。

特に妊婦さん、授乳婦さんや小児の方への服用はお勧めしません。

お薬との飲み合わせももちろんデータはないので、服用は慎重にしてください。

まとめ

ここで紹介した論文が全てではありませんが、主要なものは紹介できたと思います。

飲む日焼け止めとしてしまうと、日焼け止めを、塗らないでいいと勘違いしてしまう人が出てしまうのであまり適切な表現ではないと思います。

論文を見ても光のダメージに対して多少効果があるかもしれませんが、塗る日焼け止めの代わりになるものではないことははっきりしています。

分かりやすく言えばSPF<3程度の日焼け止め効果がある程度です。

これはチョコレートの日焼け止め効果と同程度(SPF2.05)です。

フェーンブロックなどの飲む日焼け止めと言われるものは、抗酸化作用のあるサプリメントの認識が適切だと思います。

こういったサプリメントを服用する場合、安全性はとても大切で、その点では多くのデータがあるフェーンブロックがオススメです。

紫外線ケアは日焼け止めの塗布が重要で、効果のエビデンスもありますので、欠かさずに日焼け止めを塗布したうえで、補助的にフェーンブロックを使ってください。

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