美白肌になるためのスキンケア

美白肌になるためのスキンケア

この記事では美白肌になるための方法について、生活スタイル、スキンケア、医療の視点から多角的にアプローチして解説していきます。

「美白になりたいけど、どうしたら美白になれるの?」とか「美白になるためにたくさん努力してるけど、理想の美白にはなれないよ」と思っている方もいるかもしれませんが、そもそも美白ってどんな状態のことを言うのでしょうか。

いろいろなメディアで見かける「美白」というフレーズ、具体的に説明できる人はそこまで多くないのではないでしょうか。

まずは理想的な肌を手に入れるために「美白」を知り、美白になるための方法についても考えてみたいと思います。

目次

美白ってなに?

「美白」とはただ白いだけの肌のことを言うのではなく、美しい肌であることではじめて「美白」となります。では具体的に美しい肌とはどういうものをいうのでしょうか?

美しい肌といっても人によって考え方が違うと思いますが、一般的には「潤い」「滑らか」「ハリ」「弾力」「血色」「ツヤ」が大切だと言われています。

肌が乾燥していているカサカサの肌は美しい肌とは言えません。ドライスキンケアを実践して「潤い」や「滑らか」をキープしたいですね。また、紫外線ダメージや老化の影響で「ハリ」「弾力」がなくなってしまって、たるみやシワが増えてしまうので、紫外線対策やアンチエイジングにも気をつけなければいけません。

睡眠不足や運動不足で血行不良になると、「血色」が悪くなり、肌がくすんで見えるだけでなく、肌のターンオーバーが遅くなってしまし、角質が肥厚して肌の透明感がなくなり「ツヤ」が失われてしまいます。さらには保湿機能も低下してカサつき肌や肌荒れの原因となり、美しい肌を維持できなくなってしまいます。

この美しい肌とはどんな肌か・・・。分かりやすく言えば赤ちゃんのような肌です。あのずっと触っていたくなるようなぷるんとした、滑らかですべすべ、透き通るような肌。

この美しい肌をキープするために重要となってくるのが、肌の水分量、ターンオーバー、コラーゲン量です。それに加えてメラニン対策することが「美白」になるために必要なことになります。

それではさらに詳しく美しい肌について考えていきたいと思います。

肌の水分量

肌の「潤い」を左右する水分量ですが、この水分をキープする油分も重要です。美しい肌はこの水分と油分のバランスがいいと言われています。角質に含まれる水分量は20%が理想とされていますが、加齢により減少していきますので、年齢を重ねるほど保湿のお手入れが重要になってきます。

一方、油分とは①皮脂、②セラミドやコラーゲンなどの細胞間脂質、③天然保湿因子(NMF)の3つのことを言いますが、これらの油分がバランスよく含まれていることが大切になります。オイリースキンの方は皮脂が多いだけではなく、角質層の水分量も多いため毛穴が比較的大きくなってしますので、肌のキメが粗くなってしまいテカリの原因になってしまいます。

加齢により皮脂、細胞間脂質、NMFといった油分が減少することが知られていますが、この肌の水分をキープする油分、すなわち保湿能が低下してしまうことでドライスキンになってしまいます。

ドライスキンの方は水分、油分ともに不足していて、キメの溝が浅く乱れた肌になってしまいます。キメが浅いとキメが荒い方以上に皮脂によってテカリが強くなってしまいます。

ドライスキンを補正して肌のキメも整った肌になれば、同じ皮脂の量でも光を自然に反射して「滑らか」で「ツヤ」のある肌に見えます。

「ドライスキン対策についての記事」もありますので、参考にしてみてください。

肌のターンオーバー

肌のターンオーバーとは皮膚の新陳代謝のことで、28日周期が正常とされています。ただしこのサイクルは加齢、ホルモンバランス、紫外線などに影響を受けます。

加齢、睡眠不足、栄養不足やストレスによってターンオーバーのサイクルは遅くなってしまいますが、そうなると保湿能のない古い角質が表面に溜まり、肌の乾燥、シミ、くすみの原因となってしまいます。

基本的には自然に皮膚のターンオーバーが早まることはありませんが、肌が紫外線や乾燥、こすり洗いや強いピーリングなどでダメージを受けると、肌の再生能力が高まりターンオーバーのサイクルが早まります。

ターンオーバーが早まると栄養不足で未成熟な細胞が量産されてしまいます。このような細胞は荒く、大きさも不揃いで保湿成分も不十分になり、キメの荒い乾燥した肌になってしまい「潤い」や「滑らか」が失われてしまいます。それだけではなく肌の「弾力」やバリア機能も低下してしまうので、しっかりとした対策が必要です。

肌のコラーゲン量

肌の「ハリ」や「弾力」を担う主力成分となるのが、表皮の下にある真皮を構成しているエラスチンやコラーゲンです。これらの成分は線維芽細胞から作り出されますが、老化によって線維芽細胞の生成が減少するので、その結果として肌の「ハリ」や「弾力」は失われてしまいます。

老化は加齢によるものだけではなく、紫外線のダメージによる「光老化」があります。老化における紫外線の影響は80%とも言われており、日焼け止めなどによる紫外線対策は肌の老化対策の要とも言えます。

肌が黒っぽく見えるのはなぜ?

美白肌を目指す人にとっては、肌が黒っぽく見えることは何としても防ぎたいのではないでしょうか。そのためには黒っぽく見える原因を知っておくことが大切になります。

肌が黒っぽく見える原因① シミ

紫外線や摩擦などのダメージから肌を守ろうとして大量に合成されるメラニン。紫外線を大量に浴びたり、洗顔の際にゴシゴシと力を入れてしまうと肌にメラニンが蓄積してしまいます。通常、メラニンは寝ている間にリセットされますが、過剰にメラニンが合成し続けられたり、ターンオーバーが遅くなることによってメラニンの排泄が滞って、一箇所に集中して蓄積するによりシミができてしまいます。それ以外にも女性ホルモンや炎症、ストレスなどもシミの原因になります。

肌が黒っぽく見える原因② くすみ

メラニンが一箇所だけに集中して蓄積せず、肌全体に広がって蓄積するとシミではなく、くすみになりますので紫外線対策を欠かさないようにしてください。

くすみの原因はメラニンだけではありません。睡眠不足や冷え、運動不足により血行不良となってしまうと、青っぽく見える静脈が皮膚から透けて、くすんだ肌のように見えてしまいます。もともと色白の人だと青グマができてしまうことも。

ちなみに肺や心臓などにとって有害なタバコですが、喫煙により皮膚の血行不良も引き起こすのでくすみの原因となります。ただ、それだけではなく、喫煙により増えた活性酸素を抑えるために大量のビタミンCが消費され、ビタミンC不足になってしまいます。ビタミンC不足になると、肌のターンオーバーの遅れやコラーゲン不足が生じて、シワやたるみなどのトラブルを招いてしまいます。

肌が黒っぽく見える原因③ 角質の蓄積

ターンオーバーのサイクルが遅れると本来剥がれ落ちるはずの古い角質が蓄積してしまうので、角質は肥厚して肌の透明度は低下してしまいます。睡眠不足や栄養不足解消を心掛けるとともに、適度なピーリングも活用しましょう。

肌が黒っぽく見える原因④ 乾燥

乾燥により潤いを失った肌は、表面が萎んでキメが乱れたり、ハリが低下してしまいます。こうなると肌に光が当たってもキレイに反射することができず、影ができてツヤ感がなくなってしまいます。便秘はターンオーバーの乱れの原因となりますが、これにより乾燥肌になってしまいます。また洗顔のやりすぎでも潤いが失われてしまうので注意が必要です。

肌が黒っぽく見える原因⑤ 糖化

糖質の多い食事や食べ過ぎなどを繰り返していると、余分になった糖質が体内のタンパク質と結びついて、AGEs(終末糖化産物)と呼ばれる老化促進物質が作り出されてしまします。

この現象は糖化やメイラード反応と呼ばれていますが、この糖化はコラーゲン繊維を破壊してしまうので肌のハリは失われてしまいます。またAGEsは褐色ですので糖化が進むと肌はくすんで透明感が失われてしまいます。

糖化を予防するために、血糖値を上げない食事や適度な運動を心がけましょう。またタバコは受動喫煙も含めAGEsも増やすことが知られているので、美白肌を目指す方はタバコは避けるべきですね。

美白肌になるためには何を気をつければいいの?

ここまでに書いてきたような条件をクリアできれば、白く美しい肌、美白肌が手に入れることができますが、実際にどういったことに気をつければいいのでしょうか。

美白肌を手に入れるためには内側と外側の両面からのケアが重要となってきます。まずは内側から肌をサポートするためにどういったことに気をつけたほうがいい考えてみます。

美白肌になるための生活スタイル① 食事

人は食事することで栄養素を吸収して、全身の組織を合成・維持しています。もちろん皮膚も例外ではないので、偏った食事や間違ったダイエットによる栄養失調があると、肌にとって良くないことが次々と起こってしまいます。

「肌にいいビタミンが多いし、ヘルシーだから野菜中心の食事」、「手軽だからコンビニの弁当とかパスタが多い」、「とりあえずお菓子でお腹を満たします」、「アルコールをたくさん飲むから食事は控えめ」みたいな方は要注意です。

食事は3大栄養素の「炭水化物」・「脂質」・「タンパク質」をバランスよく摂ることが大事ですが、野菜中心の食事をしていると、体や皮膚のもととなるエネルギーである3大栄養素が不足してしまうので、さまざまな肌のトラブルに繋がってしまいます。

逆にパスタなどの炭水化物中心の食事では、皮膚を構成する重要なコラーゲンやエラスチン、NMFなどのもととなるタンパク質が不足するので、シワやたるみ、乾燥などが進んでしまいます。もちろん糖化も進むので、くすみの原因にもなってきます。

脂質は油なので太るというイメージもあるかもしれませんが、肌の潤いに欠かせない皮脂やセラミドの合成には脂質は必要となります。マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸は動脈硬化や排卵障害などに関連していると言われているので避けた方がいいですが、良質な脂質は適度にとらなければいけません。

エネルギー不足になると血行不良や貧血になり、肌のくすみやターンオーバーの遅れが進行するだけではなく、便秘にもなるので腸内環境が悪化してしまいます。便秘は活性酸素の増加やビタミンB群の合成抑制に関係していると言われているので、過度のダイエットなどでエネルギー不足にならないように気をつけましょう。

注意が必要なのは、食品中の栄養素や食品そのものの健康への影響を過剰に評価したり、あるいは逆に、過剰に悪く評価してしまう、「フードファディズム」です。

「フードファディズムについて詳しく書いている記事」があるのでぜひ参考にしていただきたいですが、テレビや本、インターネット上で「○○○は肌にいい」という内容を見たからと言って、その食品に傾倒せずバランスの取れた食事を意識しましょう。

3大栄養素をバランスよく摂取することを前提として、この3大栄養素の代謝を助ける役割をもつビタミン、ミネラル、食物繊維もしっかり摂取することを心掛けましょう。

ちなみに別の記事で「美白肌にはビタミンCが重要」であることを書いているので、ぜひご覧ください。

美白肌になるための生活スタイル② 睡眠

美しい肌になるための一番の近道は、睡眠時間をしっかり確保し質の高い睡眠をすることです。眠り始めの2〜3時間ほどで分泌される成長ホルモン。この成長ホルモンは細胞分裂を促し、肌の修復や再生を行なっています。

睡眠は眠りの深い「ノンレム睡眠」と眠りの浅い「レム睡眠」を1時間半の周期で交互に訪れます。寝始めにやってくるのが「ノンレム睡眠」ですので、睡眠時間は、目覚めの準備に入りやすい「レム睡眠」のタイミングになる6時間、9時間が理想的になります。

成長ホルモンによる肌や他の組織の修復には、最低でも6時間はかかると言われているので、睡眠時間も少なくとも6時間は確保しましょう。

また成長ホルモンは寝る時間が毎日バラバラだとスムーズに分泌されなくなってしまうので、毎日同じ時間に寝ることを心掛けましょう。

美白肌になるための生活スタイル③ 運動

近年はデスクワークやリモートワークが多くなり、プライベートでも動画配信サービスやストリーミングサービスが充実して、室内でもかなり充実した生活がおくれるようになっています。そうなると問題となるのが運動不足です。

運動不足は血行不良につながり、むくみや冷えの原因となります。肌にとって都合の悪い便秘や不眠の原因にもなります。

それだけではなく、血行が悪くなるとクマができやすく、不眠などのストレスから肌荒れやニキビにも繋がってしまいます。

手軽にできるウォーキングやジョギング、筋トレからでもいいので、週に数回程度からでも始めてみてください。

美白肌になるためのスキンケアって何をすればいいの?

肌はさまざまな外的要因によってダメージを受けて、肌本来の力が発揮できなくなり、肌トラブルにつながってしまいます。

スキンケアは「ドライスキンケア」、「紫外線ケア」、「清潔ケア」の3つがメインで、スキンケアを適切にすることによって、肌にもともと備わっている力を発揮することができます。

美白肌になるためのスキンケア① ドライスキンケア

水分、油分ともに不足しているドライスキンの方は、キメの溝が浅く乱れた肌になってしまいます。さらにターンオーバーが乱れた結果、くすみやシワ、たるみなどが目立つようになります。

ドライスキンケアは医学的にもエビデンスのあるケアになりますので、美白肌を手に入れるためにもしっかりと実践したいスキンケアです。

ドライスキンケアに役立つ保湿剤を紹介しているページも書いているので参考にしてください。

ドライスキンケアの基本は保湿になりますので、薬局などで購入できる保湿剤やセラミド配合の美容液による保湿ケアが重要になります。保湿剤としてのセラミドの有効性についてはこちらの記事を参考にして下さい。

おすすめのセラミド配合美容液は、アスタリフト ジェリーアクアリスタ(富士フイルム)です。

ヒト型ナノセラミド(セラミドEOP、NP、セラミドAOP配合)配合。ヒト型セラミドの平均粒子径をナノサイズ(20nm)に小さくすることで、溶解オイルを使用せずに水中に微細に分散させることができ、ラメラ構造が改善されバリア機能は高くなり、肌に水分が保持され、キメやハリなどの見た目も改善すると言われています。

アルコール配合なので、アルコール過敏な方にはお勧めできませんので、注意が必要です。

また高価なところも難点ですが、利用されている高度な技術を考えれば決して割高ではないと思います。

美白肌になるためのスキンケア② 紫外線ケア

シミやシワなどの肌の老化の主な原因は、紫外線ダメージによる光老化。当然、光老化を防ぐためには紫外線対策、すなわち日焼け止めクリームや日傘、帽子などさまざまなアイテムを使って日焼けを徹底的に防ぐことがとても重要になります。

紫外線には表皮から真皮上層までを傷害するUVBと真皮深層まで傷害するUVAの二種類があり、どちらも光老化の原因になるので、どちらの紫外線も防がなくてはいけません。日焼け止めにはUVBに対して効果が高い紫外線吸収剤とUVAにも効果のある紫外線散乱剤の2種類がありますが、紫外線吸収剤が肌にとって刺激になることがることから、紫外線吸収剤フリー(ノンケミカル)のものがおすすめされる傾向にあります。

しかし、吸収剤による接触性皮膚炎はきわめて少ないと言われていますし、吸収剤のコーティング技術の向上により直接肌に触れず負担軽減されている製品もあるので、効果を優先させたい場合には吸収剤と散乱剤が配合されている日焼け止めがおすすめです。

今の日焼け止めは技術の進歩により、つけ心地は格段に良くなり、化粧下地として使えるものや保湿クリームとしても使えるタイプまでさまざまな種類があるので、質感や色合いなどの好みで選べたり、用途によって目的に合わせて選ぶこともできます。

UV エクスペール トーン アップ ローズ(LANCÔME)はピンクのクリームで化粧下地にも使え、肌のトーンアップにも効果的です。吸収剤と散乱剤が配合されており、「SPF50+/PA++++」と最高レベルで紫外線から肌をしっかり守ります。

日中用クリーム・日焼け止めのB.A ライトセレクター(POLA)は、POLA独自の知見から開発されています。可視光の中で長い波長を持つ赤色光が、皮膚組織の中で肌を支える繊維束構造を強化することで立体感やハリ感をサポートすることを根拠とし、赤色光だけ透過させ、紫外線・近赤外線をガードする日焼け止め、B.A ライトセレクターを販売しています。とても効果ですが、それには意味があるわけですね。こちらも吸収剤と散乱剤が配合されており、「SPF50+/PA++++」と最高レベルで日焼けをガードしてくれます。

敏感肌などでノンケミカルの日焼け止めしか使えない方は、日やけ止め ノンケミカル(ドゥーエ)がおすすめです。「SPF40/PA++++」と比較的高いレベルの日焼け止めで、かつ敏感肌処方の配合です。

イーブン ベター ダーク スポット ディフェンス 50(CLINIQUE)は、ノンケミカルですが「SPF50/PA++++」と高いレベルでの紫外線ガートを実現します。

ミネラルCCクリーム(ETVOS)は、透明感のある自然なツヤ肌に仕上げる化粧下地ですが、ヒトセラミドなど美容成分配合し、ノンケミカルで「SPF38 PA+++」のレベルで日常の紫外線からもガードしてくれます。

一つ注意しておきたいこととして、過剰な紫外線対策はビタミンD不足に陥りやすく、特に妊婦さんや赤ちゃんなどに対する紫外線忌避には注意が必要です。一方で、紫外線は光老化以外にも、最大の皮膚発癌因子ということも知られているので、適切な紫外線ケアを心がけてください。

また飲む日焼け止めも話題にはなりますが、飲む日焼け止めの評価についても記事にしていますので、気になる方はチェックしてください。

美白肌になるためのスキンケア③ 清潔ケア

肌に付着した汚れを適切に落とし、肌を清潔にキープすることが清潔ケアの目的です。清潔ケアには油性のメイク汚れを落とすクレンジングと、ほこりなどの空気中の汚れや汗、古い角質などを洗い流す目的の洗顔があります。

クレンジング料や洗顔料の主成分である界面活性剤は、肌の角層の膜を壊してしまうので、正しくこれらを使わないとNMFやセラミドなどの細胞間脂質が皮膚から失われてしまい、肌の乾燥や皮膚刺激を招いてしまいます。

清潔にすることと乾燥を防ぐことは相反することなので、皮膚のバリア機能を守るために界面活性剤を使用しないという極端な考え方もありますが、一般的には汚れを落とさないと雑菌や肌の刺激物が増えてしまうので、いかに肌に優しい清潔ケアを心掛けられるかが大切になってきます。

清潔ケア①クレンジング

クレンジング料は油性成分と界面活性剤の配合バランスを変えることで、さまざまな種類に分類されているので、自分の肌質やメイクの濃さに合わせて使い分けるのがおすすめです。

オイリー肌の方は、ローションタイプやジェルタイプのものがさっぱりとして使いやすいですが、界面活性剤が多いので洗浄力は強めですが、肌への刺激が強いので注意が必要です。

一方、乾燥肌の方は油分が多めで保湿力のある乳液タイプやクリームタイプのものがおすすめです。界面活性剤は少なめなので、肌への刺激も少なめです。

また洗浄力が高いオイルタイプのクレンジング剤はサッと簡単に落ちるので人気がありますが、界面活性剤が多く含まれていて皮脂まで落としてしまうので乾燥しやすいので、メイクの濃い日だけにしたいです。

クレンジングオイルにはメインのオイルの種類によって特徴が異なります。ミネラルオイルなどの炭化水素油は、脂性肌の方や濃いメイクの方に向いていますが、乾燥しやすいので注意が必要です。

多くのクレジングオイルに使われているエチルヘキサン酸セチルなどのエステル油は、他のオイル成分を混ぜて、洗浄力やエモリエント感を調整して特徴を出すことが多いオイルです。比較的洗浄力が高いため、中〜濃いめのメイクに向いていて、さっぱりした使用感がありますし、酸化しにくいのでアクネ菌などのエサにもなりにくいです。

動植物性の油である油脂を使ったクレンジングオイルは、肌馴染みがよく、エモリエント効果が高いので皮膚を柔らかく保つ効果があります。乾燥肌な方やしっとりとした洗い上がりを求める方は、油脂がオススメですが、油脂は高価なので、主成分が油脂の商品は高額になります。さらに酸化しやすいものが多いので、早めに使い切る必要があります。

またオイルのタイプも大切ではありますが、クレンジングオイルに含まれる界面活性剤の種類も重要です。アミノ酸系の界面活性剤(成分名の中に「グルタミン酸」、「タウリン」、「グリシン」などが入る)や非イオン界面活性剤が使われているものは、刺激が低いので肌の弱い方にはおすすめです。ただし肌に優しい界面活性剤は洗浄力が弱いため、濃い濃度にして洗浄力を上げている商品もありますが、界面活性剤の濃度が濃いと肌への刺激が強くなるのでその点は注意が必要となります。

クレンジングのポイントは、汚れを落とそうとしてゴシゴシ擦らないことです。コットンでメイクを落とすときもたっぷりクレンジング料をつけて、擦らないように拭き取ることが大切です。

技術の発展により簡単にメイクが落とせるクレンジング料が増えてきていますが、それはすなわち、洗浄力が強く肌への刺激も強いことを意味しています。敏感肌や乾燥肌の人がこういったクレンジング料を使い続けていると思わぬトラブルになってしまうかもしれないので注意してください。

またマスカラやアイシャドウ、アイラインなどのポイントメイクは、きちんと落とさないと色素沈着の原因となってしまうので、専用のリムーバーで通常のクレンジングとは別にしっかり落としましょう。

季節によっても肌質は変わるので、その時々の肌質に合わせてクレンジング剤を選んで、丁寧なクレンジングを心がけましょう。

清潔ケア②洗顔

洗顔料を使った洗顔は、肌の乾燥を招いてしまうので、皮脂の分泌量を考慮して洗顔回数を考えることをお勧めします。一般的には洗顔料を使った洗顔は1日2回でいいのですが、小学生以下のお子さんや、皮脂分泌の少ない女性(特に50歳以降の女性)などは、洗顔料を使った洗顔は1日1回にしたほうがいい場合もあります。

理想的な洗浄剤は、①汚れだけ落として細胞間脂質は残す選択洗浄性を持ち、②洗浄したあと皮膚に洗浄剤が残らない残留性であり、③皮膚刺激や各層を破壊しないものになります。

①の選択洗浄性のある設計は難しいらしく、現段階ではセラミドなどの脂質成分を添加しておくことで、有効成分の過剰な溶出を防ごうという考えがあります。

石けんのような陰イオン性の界面活性剤は②の残留性が高いと言われています。

界面活性剤が同じであれば、アルカリ性すなわちpHが高いものほど各層の障害性は高くなるので、中性付近もしくは弱酸性の洗浄剤が良いとされています。

ウォッシングフォームスーパーセンシティブEX(ドクターシーラボ)はヒト型セラミド配合の洗顔フォームで、アミノ酸系の界面活性剤を使用しているので肌に優しい洗顔料と言えます。グリチルリチン酸児カリウムも配合されているので、肌荒れしやすい人にもお勧めです。

洗顔のポイント

あらかじめ肌を水で濡らしておくと、界面活性剤の肌への吸着を減らすことができます。

洗顔料を適量とり、少量のぬるま湯を加えて手のひらや泡立てネットを使って泡立てます。手のひらで泡立てる場合は、指先を茶せんのようして空気を含ませながら泡立てます。きめ細かくふっくらした泡の洗顔料は、汚れの除去効率が高く、皮膚刺激性も弱くなります。

泡立てた洗顔料は、擦ったりせず、転がすように優しく肌の汚れに吸着させ洗い流します。洗い流しがあると、肌の乾燥や皮膚炎などのトラブルに繋がりますので、ぬるま湯で十分にすすいで下さい。洗顔後、タオルで水滴を拭き取る際も、擦らないように顔を抑えるようにしてください。

美白肌になるためのスキンケア④ ピーリング

肌のシワ・たるみ・くすみの原因の一つにターンオーバーの遅れがありますが、ピーリングによって古い角質を除去することで、ターンオーバーが促進され線維芽細胞を活性化させます。

定期的にピーリングすることでコラーゲンの合成が促進され、シワやたるみを予防・改善することができます。古い角質が除去されるので肌のツヤや透明感がアップした美しい肌を維持できます。

ピーリングにはAHAや酵素入りの洗顔料や角質除去成分含有の美容液などで緩やかに角質を除去する方法がありますが、30代以降はクリニックでケミカルピーリングを定期的にすることで、安全で効果的な結果が得られると思うのでおすすめです。

美白肌になるためのスキンケア⑤ 美白化粧品

シミには老人性色素斑、雀卵斑、肝斑、炎症後色素沈着などがありますが、紫外線ダメージによる光老化によるシミは、老人性色素斑と雀卵斑の一部だけですが、これらのケアとして美白化粧品が使われます。「美白」と明記されている商品は、医薬部外品として扱われていますが、これは許可された美白成分が許可された量で配合(これが大事)されているので、医薬部外品の美白化粧品を使用しましょう。

一方、「化粧品」に分類されているハイドロキノン製剤ですが、効果が高い反面、副作用も多く適切な使用が求められるので、医師の指示以外では使用しないようにしてください。

美白成分には色素細胞の直接抑制(ハイドロキノン)、チロシナーゼ阻害によるメラニン合成抑制(ビタミンC誘導体など)、エンドセリン阻害によるメラニン合成の伝達抑制(カモミラET)、メラニン排泄促進(トレチノイン)などを機序としたものがあります。

ビタミンC誘導体

チロシナーゼ抑制効果に加え、抗酸化作用もあり美白効果以外にも、アンチエイジングやニキビ予防にも効果があると考えられています。歴史も長く、安全性の高い成分になります。

オバジのビタミンC美容液はピュアビタミンCの商品でして、ビタミンC誘導体ではないので、美白成分としては認可されていませんが、高濃度のビタミンCなので効果は期待できます。

ビタミンCが不足している場合は、効果の高い医薬品から補充することもオススメです。

「ビタミンC製品の美白効果について」は詳しく記事にしていますので、興味のある方はこちらをご覧ください。

ルシノール

シベリアモミの木の成分に改良を重ねて開発された、チロシナーゼ活性を阻害させる美白成分です。

ポーラのホワイトショットSXS Nは、ルシノールとビタミンC誘導体の2種類の美白成分を配合した美容液になります。

アルブチン

アルブチンはハイドロキノン誘導体とも呼ばれる美白成分になります。ハイドロキノンは作用が強く、副作用も出やすいため医師の指導のもとで適切に使用しなければならないので、取り扱いが難しいです。一方、アルブチンはハイドロキノンと似た構造をしていて、チロシナーゼ阻害作用を持ちますが、ハイドロキノンほどの強い作用はないので安全に使用できる成分となります。

先行美容液のアスタリフト ホワイトジェリーアクアリスタ(富士フィルム)は、アルブチンを美白成分として配合しています。この商品はナノ化した浸透力を持つセラミドを配合しており、保湿剤としてもとても優秀な商品です。

「アスタリフトの技術の高さについての記事」も書いているので、こちらもぜひチェックしてください。

4MSK

資生堂が開発したサリチル酸誘導体で、チロシナーゼ活性を抑えます。それに加え、シミの部分にできる慢性的な角化の悪循環も抑制して、溜まったメラニンを排泄させます。

イルミネーティング マイクロS セラム(資生堂)は、乳液タイプの4MSK配合美容液になります。

カモミラET

ハーブのカモミールから抽出される成分で、エンドセリン阻害作用を持ち過剰なメラニンがシミになるのを防ぎます。

美白ケアは「日焼けしたから美白化粧品使おう」というものではなく、基本は毎日続けるケアになりますので、美白化粧品はさまざまなアイテムがありますが、毎日さらっと取り入れやすい美容液がおすすめです。

ちなみに美白成分として有名なトラネキサム酸が有効なシミは、肝斑ですので注意が必要となります。「トラネキサム酸の詳しい解説」は別の記事で書いているで、ぜひ参考にしてみてください。

自身のシミがどのタイプかによって美白ケアの方法も変わってきますので、一度皮膚科で診断してもらうのも大切なことだと思います。

美白肌になるためのスキンケア⑥ 抗シワ化粧品

シワの日常ケアには、効果が弱くても副作用の少ない抗シワ化粧品の使用が望ましいですが、有効成分として細胞制御物質と抗酸化物質があります。

トレチノイン

トレチノインはビタミンA誘導体の一つで、さまざまな臨床研究で光老化を改善させる効果が報告されています。トレチノインは日本では許可されていませんが、欧米ではニキビの治療薬として許可され、広く使われています。日本では美容皮膚科の院内製剤として処方されているようです。美容皮膚科でよく取り扱われている医療機関専門のスキンケアブランド「ゼオスキン」のスキンケアプログラムでも取り入れられていて、化粧品と一緒に処方されています。

トレチノインには古い角質を剥がし、皮膚の再生を促す作用があります。また真皮のコラーゲンやヒアルロン酸の合成を促し、肌のたるみやシワを改善させます。ただトレチノインクリームを使うとほとんどの人が、紅斑や局所の腫脹、皮膚の乾燥、落屑などの皮膚症状が出るので、皮膚科医と相談しながら使う必要があります。

レチノール

レチノールもビタミンA誘導体なので、トレチノイン類似の作用機序を持っていますが、効果はやや弱く、刺激なども少ないので日常的な使用に適しています。

ターンオーバーを促すので、シワやくすみを改善させる効果が期待できますし、コラーゲンの合成を促す効果もあります。「エンビロン」や「ゼオスキン」はレチノール含有化粧品として有名だと思いますが、使い方には注意が必要な商品ですので、クリニックなどで適切な指導を受けた使用が推奨される商品です。

エリクシール シュペリエル エンリッチドリンクルクリーム(資生堂)は、目もと・口もと・首などのシワ改善させるので、気になる部分にだけ使うクリームです。アルコールが含まれているので、アルコール過敏症の方は注意が必要な商品です。初めて使う場合や肌が敏感なときは、2〜3日に一回などならし使いすることをお勧めします。

高級ラインのクレ・ド・ポー ボーテ セラムリッサーリッズ(資生堂)は、レチノール配合かつ独自の保湿・整肌成分であるイルミネイティングコンプレックスEX配合の美容液です。肌にうるおいを与え、ハリのある肌を導き、シワ改善効果を発揮します。こちらの商品もアルコールが含まれているのでその点は注意が必要です。

レチノール含有化粧品は医薬部外品にあたるので、有効成分の表記はありますが、具体的なレチノールの配合濃度がわからないのが難点です。ゼオスキンの場合はレチノール配合濃度が0.25%、0.5%、1%と3種類の商品がありますが、このように濃度が表記してあると使用者にはありがたい情報となります。

好中球エラスターゼ阻害剤

好中球エラスターゼは肌のメインの弾性繊維であるエラスチンを分解するだけではなく、コラーゲンの分解作用もあることが知られていて、シワの原因とされています。この好中球エラスターゼを抑制するために開発された物質がニールワンという好中球エラスターゼ阻害剤で、この成分を含有した製品がリンクルショット(ポーラ)です。

ナイアシンアミド

ナイアシンアミドはビタミンB3とも呼ばれ、抗酸化作用やコラーゲン合成を促進させる作用があります。皮膚脂質の改善による保湿作用や色素減少作用もあり、皮膚への刺激も少ないので様々な製品に使われている成分です。

ビタミンC

ビタミンCはコラーゲンやエラスチンの産生を促進させる作用により、シワを改善するとされています。ビタミンCは刺激が強く、不安定な物質とされてきましたが、最近は刺激が少なく安定性の高い誘導体が開発されています。

肌のトラブルを回避するためには医療機関や医薬品も活用しましょう

美しい肌になるためには、先述してきたようなスキンケアが欠かせないわけですが、根本として健康的な体調を維持することがとても重要になってきます。基礎疾患を抱えて、治療を続けながら美しい肌も維持するために努力されている方もいると思います。より良く、より長く健康を維持できるように主治医の先生と相談しながら適切な治療を受け、そのうえで、より美しい肌を手に入れるためのスキンケアをしていくことが大切なことだと思います。健康と肌への影響は様々ですが、ここでは代表的な治療対象となる肌に影響を与える疾患について触れてみたいと思います。

肌のトラブル対策① 貧血治療

貧血の原因は様々ですが、貧血が起きる仕組みは大きく①過剰な出血、②赤血球の産生不足、③赤血球の過剰な破壊の三種類に分けられます。

①の過剰な出血の典型的な原因は、慢性的に出血を繰り返す状態で、その代表的なものが重い月経です。重い月経でも「病気ではないから」と我慢してしまう方もいるかとは思いますが、子宮や卵巣疾患のサインの可能性もありますし、そうでなくても薬などで症状を改善することができます。婦人科クリニックを受診することで、適切な治療やアドバイスが受けられるはずなので、ぜひ相談してみてください。

②の赤血球の産生不足の原因は、栄養素の摂取不足です。特に鉄、ビタミンB12、葉酸が重要な栄養素ですが、ダイエットなどで動物性たんぱく質を制限した食事をメインにしていると、鉄やビタミンB12が不足して貧血が悪化してしまいます。さらに、お茶やコーヒーに含まれるタンニンやファイバー入り飲料に含まれる食物繊維は、鉄の吸収を妨げる働きがあるので、摂りすぎには注意が必要です。

また月経による慢性的な出血が続くと体内の鉄分が減少しますが、出血量には個人差があるので、鉄分を意識した食事をしていても不足してしまうこともあります。食事以外でもサプリメントや医薬品で栄養素を補充することも検討していいと思います。

一方で、皮膚炎や脱毛の原因として知られている亜鉛不足ですが、スポーツ選手などでは亜鉛の欠乏による貧血が多いことが知られています。亜鉛不足にならないために、魚介類や肉類、豆類などの亜鉛を多く含む食事がオススメです。またスナック菓子やカップ麺などの加工食品に含まれる食品添加物には、亜鉛と結合して排泄を促進してしまう作用があるので、このような加工食品を毎日食べることは避けた方が望ましいでしょう。

亜鉛欠乏症に対する治療薬も保険適応になっていますので、食事でも改善されない場合は処方されることもありますが、亜鉛の摂りすぎは血清の銅不足を招くので適切な指示のもと治療することが重要です。

運動による発汗や激しい筋肉の収縮により内部の赤血球が壊れてしまうことがあり、③の赤血球の過剰な破壊による貧血の原因となることがあります。スポーツ選手だけではなくマラソンやダンスなどが趣味の方も注意した方が良いでしょう。

肌のトラブル対策② 便秘対策

「生理前になると便秘になるなぁ」と感じている女性もいるかと思いますが、これは生理前に分泌が増える黄体ホルモンが影響しています。黄体ホルモンは身体に水分を溜め込んでしまい、腸管壁が浮腫むことが要因と言われています。

便秘により便に混じった大量の毒素が腸管に溜まってしまうと、この毒素が腸管から吸収され皮膚にまで分布し、肌荒れやニキビなどの肌のトラブルや体臭、冷えなどの原因になります。生理前はホルモンバランスの乱れと便秘による相乗効果で肌のトラブルが増えてしまいます。

生理前だけではなく、ダイエットや運動不足、冷え症など、さまざまなきっかけで便秘になってしまい、肌荒れや肌のくすみ、ハリの低下に繋がってしまいます。したがって、規則正しい生活や適切な食事、適度な運動をして便秘を予防することが、肌のトラブル回避には大切になります。

睡眠不足が続くと交感神経が優位になり、胃腸の動きが悪くなってしまうので、睡眠をしっかりとって身体をリラックスさせましょう。そうすることで副交感神経の働きが高くなり腸管の動きが活発になります。

食生活では、朝食をしっかりとり1日3食きちんと食べ、水分や食物繊維を意識的に摂取することが大切です。ダイエットで食事量が減ってしまうと便のかさが減ってしまい、便秘を助長させてしまうので気をつけましょう。

血行不良になると便秘につながるので、日常的な運動で血行を改善させたり、お腹のマッサージや腹巻きなどでお腹を温めることが大切です。また便を押し出す力を強めるために腹筋を鍛えるのもオススメです。

生活習慣を改善させても便秘が解消されない場合は、便秘薬に頼るのもいいと思います。市販で購入できる便秘薬は刺激性タイプと非刺激性タイプがあります。

刺激性タイプの便秘薬は、頻繁に使うと腸が刺激になれて効果が得られにくくなることがあることと、腸の刺激による腹痛が起こりやすくなるため注意が必要です。

非刺激性の下剤は効果は比較的強くありませんが、クセになりにくく、腹痛も起こりにくいので病院を受診せず、個人でコントロールする分では扱いやすい市販薬になります。

市販薬でも便秘がうまくコントロールできない場合は、クリニックなどの医療機関に受診することをお勧めします。医療機関で処方できる便秘薬は、市販薬よりも種類が多く、症状に合わせた治療が提供されるので、なかなか便秘が改善しない場合は受診して相談するようにしてください。

肌のトラブル対策③ ニキビ対策

皮脂の分泌が亢進するとともに、毛穴を塞ぐように角質が詰まることで毛穴の中で皮脂が詰まってしまいます。この症状をコメド(または面皰(めんぽう))といい、ニキビの原因菌であるアクネ菌が増殖しやすい環境になります。

ニキビ菌が増殖した状態(白ニキビや黒ニキビ)から、さらに菌が増殖すると炎症が起きて赤ニキビや黄ニキビができます。この炎症が強かったり、自分でニキビをつぶしたりすると、色素沈着やクレーター状のニキビ跡ができてしまいます。

ニキビ対策といえばスキンケアと考える方もいると思いますが、ニキビができた場合は出来るだけ早期に医療機関を受診して、治療することが望ましいです。ニキビ予防はスキンケア、ニキビができたら病院受診と思っておいてください。

ストレスや食生活の乱れ、乾燥、ビタミンB2・B6不足など、さまざまな理由でニキビができるので、生活習慣を改善したり、適切なスキンケアをすることでニキビ予防することは大切です。

ビタミンB不足と思う方は赤身の肉や豆類などの食事を意識したり、ビタミン剤などで補充してください。

一方でニキビができてしまった場合、スキンケアや洗顔で改善させようとする方が多いと思いますが、スキンケアではニキビの治療はできないので、炎症が起きていない出来るだけ早期から皮膚科を受診しニキビ治療することが大切になります。

ニキビの発症年齢が同じであってもニキビ跡が残っている患者は、ニキビができた初期に市販薬や化粧品で対応して医療機関を受診した時期が3年遅かったという文献もあることから、適切な治療を受けることが重要であることがわかると思います。またニキビの炎症が改善すると治療をやめてしまう方もいるかと思いますが、コメドが残っていると炎症が再発してしまうので、維持治療を続けることも大切です。

以前のニキビ治療は、抗菌薬による炎症性のニキビ治療がメインでしたが、現在ではアダパレンや過酸化ベンゾイルといったコメド改善の治療薬が承認されているので、急性炎症期だけでなく、維持期の治療法が確立されています。医療機関では症状に合わせて治療薬の組み合わせを変えていくので、適切な診断を受けながら治療を続けることが望まれます。

ニキビの予防だけでなく、ニキビの治療中も適切なスキンケアは重要で、コメドができにくいとされるノンコメドジェニック試験済みの表記がある基礎化粧品を選ぶことをお勧めします。

ニキビがあるとメイクアップすることに躊躇する方もいるかもしれませんが、メイクしないことによる精神的ストレスを考えると治療を続けながらしっかりメイクする方がいいと思います。ただニキビのある局所をコンシーラーなどで塗り重ねると、毛穴が塞がってコメドがさらにできてしまうので避けましょう。

眼瞼や唇を強調した部分メイク、さらにはイヤリングやメガネなどのアクセサリーでニキビをカモフラージュするのもニキビ治療中には活用してもいいと思います。

肌のトラブル対策④ アトピー性皮膚炎治療

「アトピー性皮膚炎などのアレルギー予防には、スキンケアが重要です」といった内容の記事を書いているので、興味のある方はチェックしていただきたいのですが、スキンケアの中でも乾燥肌のケアがとても大切になります。別の記事では「乾燥肌の対策とスキンケアに必要な保湿剤」について書いているので、こちらも参考にしてください。

アトピー性皮膚炎の患者さんの多くは「アトピー素因」を持っています。アトピー素因とは、患者さん自身やその家族が過去に、気管支喘息・アレルギー性鼻炎・結膜炎・アトピー性皮膚炎に罹ったことがある場合や、IgE抗体(アレルギー反応を引き越す免疫タンパク)を産生しやすい素因のことを言います。

アトピー性皮膚炎は遺伝的素因も含んだ多病因性の疾患なので、アトピー性皮膚炎そのものを完治させる治療法はありません。疾患の悪化因子を減らすためにスキンケアや生活環境を整備することなどを徹底することや、薬物療法による対症療法が治療のメインとなります。

アトピー性皮膚炎が悪化し、肌が炎症してしまうと、肌のバリア機能が低下したり、掻破行為が増えることにより、アトピー性皮膚炎がますます悪化してしまうので、薬物療法で炎症を抑えることは疾患の悪化因子を減らすことにつながります。

治療薬には塗り薬、内服薬、注射薬などさまざまな治療方法があるので、医療機関を受診して適切な治療を受けることが重要です。

ステロイドの塗り薬は有名なので、みなさんご存知だとは思いますが、それ以外にもタクロリムス軟膏やデルゴシチニブ軟膏など有効性と安全性の高い塗り薬が承認されています。ステロイドの塗り薬の誤解から恐怖心や忌避を持つ方もいて、ステロイドの塗り薬を適切に使ってもらえないために皮膚炎が悪化してしまうことが問題になります。

ステロイドだけでなく、治療に不安を感じることは間違った感情ではなく、むしろ当たり前のことです。大切なことは不安や疑問に関して、医療スタッフとなんでも相談できるような信頼関係を気づくことです。もちろん医師や看護師だけではなく、我々のような薬剤師でもいいのでぜひ相談してください。

肌のトラブル対策⑤ 漢方薬

美しい肌を手に入れようと思うと、スキンケアやメイク、さらにはレーザーやIPLのような美容治療などを考えるのではないでしょうか。ただ、こういった美容を成功させ、美しい肌をキープするためには、身体の自律神経、ホルモン、免疫がバランスよく整っていることが大切です。

漢方医学的にはそれぞれ気(自律神経)、血(ホルモン)、水(免疫)に該当します。人は年齢、季節、感情など、さまざまな影響を受けることで、常に気、血、水の状態が変化していて揺らいでいる状態にあります。

効果的な美容を行うためには、この生体の揺らぎを小さくして安定した状態を保ちたいところですが、その点において漢方はとても有効なツールとなります。まずは市販で購入できる漢方を試してみて、それでもあまり効果が感じられない場合は、漢方を活用している皮膚科や婦人科で相談してみてもいいと思います。

ここからは、自身で漢方を試してみたい方にとって、参考になるのではと思った事について書いていきます。

女性は月経周期による揺らぎがホルモンと深く関係しているので、血(ケツ)の状態を整えることが重要です。血が不足している状態を血虚(ケッキョ)、血がうまく流れていない状態を瘀血(オケツ)と言います。

血虚

血虚では①顔色が悪く、②肌が乾燥し、③爪が脆くなり、④毛が抜けやすくなります。血虚の症状がある場合は四物湯や当帰飲子を試してみるといいと思います。

瘀血

①クマができやすい、②(特に目の周り、口周り)シミやくすみができやすい方は瘀血と考えられます。また月経トラブル(月経不順、月経痛、子宮内膜症など)がある方は瘀血が疑われます。月経前の黄体期になるとプロゲステロンの影響で体や皮膚に水分が貯留し、体重が増えたり、むくんだりしますが、月経がくると水分が排泄され、この症状は改善されます。この月経前後の変化は女性なら誰にでも起こりますが、この変化がとても大きい方が瘀血の状態となります。

瘀血の方は特にですが、黄体期に肌が乾燥したり、ニキビができやすくなったり化粧品で刺激を感じる方もいると思います。ピーリングなどの外用治療やレーザーやIPL治療などの美容医療を受ける方は、黄体期を避けることで思わぬトラブルを防ぐことができます。

瘀血を治す漢方を駆瘀血剤といいますが、体質(漢方医学では証)で有効な漢方が変わってきます。

証には、病気と闘う力が強い「実証」と弱い「虚証」がありますが、これは分かりにくいかもしれません。具体的には、風邪をひいた時に高熱が出て数日で治る方は実証で、逆に風邪をひいても微熱が少し出るくらいで数週間も風邪をこじらせる方は虚証となります。

また便秘があると肌にとっても悪影響があるので、便秘を解消することも美容を成功させるには必須となります。便秘の漢方を選ぶときも証を見分けることが大切ですが、1日でも便が出ないと気持ちが悪いという方は実証、数日便秘でも平気な方や下剤を使うと腹痛が強い方は虚証となります。

加齢に伴い実証から虚証になる方もいますし、普段は実証でもストレスや疲れで虚証になってしまう方もいるので、証の判断は難しいと思います。

ここからは駆瘀血剤の使い分けをとなります。まずは、瘀血の方のうち、実証で便秘がひどい方は桃核承気湯が有効となります。この漢方で便秘が解消し、それにともない月経痛やむくみ、ざ瘡、イライラなどが改善することも期待できます。

瘀血のある方で、虚証にあたる場合は当帰芍薬散や加味逍遙散が有効となることが多いです。

汗をかきにくい方は蒼朮(水を外に出す作用がある)を含むツムラの漢方を選んでください。

汗をかきやすい方は白朮(汗を止める作用がある)を含むクラシエの漢方を選んでください。

また桂枝茯苓丸も即効性のある駆瘀血剤として効果が期待できます。

漢方薬はその人の体質と、その時の症状に合ったものが選ばれる、いわばオーダーメイド的な治療になります。自分で選んだ漢方薬が効かなかったり、合わなかった場合は、クリニックなどに受診して相談してください。

まとめ

美白肌とは何か、そして美白肌をキープするための方法について、生活スタイル、スキンケア、医療など多方面から解説してきました。

美白肌になるためには、白さを求めるだけではなく、規則正しい生活スタイルを続けながら、肌の状態に合わせた適切なスキンケアをして美しい肌を手に入れる必要があります。

美しい肌のためには、心身ともに健康な状態が理想です。持病がある場合や体調が悪化したとき、さらにはホルモンバランスに問題がある場合などは病院を受診したり、薬局などで医薬品を購入することも検討してください。

この記事が美白肌を手に入れるための手助けになればと願っています。

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