この記事では、アトピー性皮膚炎などのアレルギー対策として、子供のうちから保湿をすることの重要性を解説しています。
子供たちのスキンケア。我が家は3人の子供たちがいるので、スキンケアも3人分。
毎朝起きたら保湿剤、夜は風呂上がりに保湿剤。
正直、めんどくさい。
ふと、もうやめてもいいかなぁと思ったり。スキンケカウンセラー失格ですよね。
みなさんはお子さんのスキンケア、どうしてますか?
家事、仕事、育児と毎日の忙しさでスキンケアがおろそかになってしまう日もありませんか?
「スキンケアの回数減らしたい!」
「できることならラクしたい!」
と、私と同じように思っている人もいるかもしれませんね。
でもダメなんです。
残念ながら毎日のスキンケアは欠かすことはできません。
忙しくてもお子さんのスキンケアはしっかりやってあげてください。
子どものアレルギー予防には早期からのスキンケアが大切です。
「もっとこまめにスキンケアしておけばよかった」
「スキンケアがそこまで重要だったとは…」
と、子どもがアレルギー疾患となってから後悔したくないですね。
ここでは子どものアレルギー予防とスキンケアについて紹介していきます。
アレルギーマーチ
みなさんはアレルギーマーチという言葉を聞いたことがありますか?
マーチは行進曲。つまり、アレルギー症状が年齢とともに次から次へと症状を変えて、進展していく様子が行進曲みたい。
明確なエビデンスはまだないですが、初期の段階で予防できれば、その後も予防できるかも?
ということで、
食物性アレルゲンによる食物アレルギーやアトピー性皮膚炎を予防することがアレルギーマーチを防ぐために重要となります。
アレルギーマーチの予防
食物アレルギーの予防-5〜6ヶ月での離乳食開始-
まず前提として、
すでに食物アレルギーやアトピー性皮膚炎を発症している場合は、医師の管理下のもとで適切な対応をとることが望ましいので、主治医の指示に従ってください。
食物アレルギーを予防するためには食物アレルゲンを、適切なタイミングで、適切に摂取することが重要です。
「授乳中はアレルゲンは食べないほうがいいの?」
これはダメなんですね。
妊娠中・授乳中にお母さんが特定の食物を避けることは、アレルギーの発症予防にならないどころか、お母さんの栄養状態には有害なのでやめましょう。
「いつから離乳食に卵とか使っていいの?」
離乳食の開始時期は生後5~6か月頃が適当です。食物アレルギーの発症を心配して離乳食の開始を遅らせないでください。
食物アレルゲンの接種時期についてはいろいろな論文が出ています。
乳児期の 鶏卵 ( 4〜6ヶ月 )・ピーナッツ(6~11ヶ月)の早期導入⇒アレルギー発症リスク軽減の可能性 Ierodiakonou D, et al. JAMA. 2016 ; 316 : 1181-1192 乳児期の 鶏卵 ( 6〜12ヶ月 )の早期導入⇒卵アレルギー発症リスク軽減の可能性 Natume O, et al. Lancet. 2017 Jan 21 ; 389 (10066) : 276-286 食物アレル ギーの発症リスク :早期導入(生後3か月)と標準導入(生後6か月以降)は同等 Perkin MR, et al. N Engl J Med 2016 ; 374 : 1733-1743 乳児期のピーナッツの早期導入(4~10か月)の早期導入⇒ピーナッツアレルギーの進展のリスク軽減の可能性 Du Toit, et al. N Engl J Med 2015 ; 372 : 803-813
食物アレルギー予防についてのくわしいことは「食物アレルギー診療ガイドライン2016」が情報を公開していますので参照してください。
「離乳食を始めるタイミングが大事なんだねぇ。ところで、赤ちゃんからのスキンケアは食物アレルギー予防にいいんじゃないの?」
残念ながら乳児期早期からの保湿スキンケアに食物アレルギーの発症予防効果は証明されていません。
しかし、
生後早期から保湿剤によるスキンケアが、アトピー性皮膚炎を30~50%程度予防できると考えられています。
アトピー性皮膚炎の予防-早期スキンケア-
「アレルギーマーチの予防に早期スキンケアがいいってことでいいの?」
そのとおり。
生後早めの保湿スキンケアがアトピー性皮膚炎の予防に有効であることが、国内外から報告されています。
新生児期からの保湿剤塗布によりアトピー性皮膚炎の発症リスクが30%以上低下する可能性 Horimukai K, et al. J Allergy Clin Immunol 2014 ; 134 (4) : 824-830.e6 出生3週間以内のエモリエント療法によりアトピー性皮膚炎の発症リスクが50%低下する可能性 Simpson EL, et al. J Allergy Clin Immunol 2014 ; 134 (4) : 818-823 この論文たちはアトピー性皮膚炎発症リスクの高い新生児を対象としています。
特にアトピー性皮膚炎になりやすいタイプのお子さんのスキンケアは重要。
ご両親、ご兄弟にアトピー性皮膚炎があるお子さんはハイリスクとなりますので、皮膚科など医療機関で相談して、保湿剤の使用を検討してください。
ハイリスク以外のお子さんでも保湿剤によるアトピー性皮膚炎の予防効果が期待できますが、そういったエビデンスは今のところありません。
大人のアトピー患者の研究がわずかにある程度です。
保湿剤の使用でアトピーの再発率抑制 川島 眞ほか. 日皮会誌 2007 ; 117 : 1139-49 保湿剤の使用で再発するまでの期間を延長 J Eur Acad Dermatol Venereol 2009 ; 23 : 1267-72
それでも保湿剤による乾燥肌の防止効果はありそうですので、スキンケアをしっかりしておきましょう。 Yonezawa K, J dermatol 2018 Jan;45(1);24-30. doi: 10.1111/1346-8138.14080. (入浴回数の削減と毎日の保湿剤使用⇒乾燥肌を防ぎ、オムツかぶれを減らす)
ドライスキンケアについてはこちらの記事を参考にしてください。
既にアトピー性皮膚炎になっている場合、保湿だけでは不十分です。医療機関の指示に従って、正しい治療を行い皮膚のバリア機能を回復させてください。
正しい治療…
- スキンケア:皮膚の清潔を保ち、うるおいのある状態にする
- 薬物治療:炎症を抑える
- 環境整備:環境中の悪化因子を可能な限り取り除く
環境整備についてはこちらの記事を参考にしてください。
どうしてスキンケア?
アレルゲンの皮膚から体内への侵入「経皮感作」が、アトピー性皮膚炎の原因と考えられています。
皮膚のうるおいは「皮脂」・「角質細胞間脂質」・「天然保湿因子」の3種類の物質により保たれています。
この3種類の物質が「皮膚バリア機能」を形成して、食物やダニなどのアレルゲンが体内に侵入しないようにしたり、水分が体内から逃げないようにしています。
「皮脂」・「角質細胞間脂質」・「天然保湿因子」これらの物質が減ってしまうと肌のうるおいはなくなり、角質層に隙間ができ外からの刺激を受けやすくなります。
さらに角質層中の水分が逃げやすくなるため、ますます乾燥が進みます。
皮膚が乾燥すると「皮膚バリア機能」が低下することで「経皮感作」が進み、乳児湿疹やアト ピー性皮膚炎を発症しやすくなります。
その湿疹部位からアレルゲンが体内に侵入することで、 他のアレルギー疾患へ進展する場合があります。
スキンケアを適切にすることで皮膚のうるおいが保たれ、「皮膚バリア機能」が持続しアレルギーの発症を予防します。
スキンケアは毎日のことで大変ですが、アレルギーマーチが進んで治療が必要になると、スキンケアとは比較にならない大変さが生じてしまうと思います。
スキンケアはめんどくさいとスキンケアカウンセラー失格な発言をしてしまいましたが、お子さんのスキンケア、一緒にがんばりましょう!
ドライスキンケアの記事も書いていますので、是非ご一読してください。
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