ドライスキンケアに欠かせない保湿剤を徹底比較

ドライスキンケアに欠かせない保湿剤を徹底比較

この記事では、美白肌をキープするために重要となるドライスキンケアの解説、さらには数ある保湿剤から厳選して比較解説していきます。

エビデンスベースという言葉を聞いたことはあるでしょうか?

「聞いたことある気がするけど…」

「最近テレビとかでもエビデンスが無いとかいうよね〜。」

エビデンスベースは「根拠に基づいた」という意味で、英語では「evidence-based」と表記します。

医療現場では「Evidence-Based Medicine(EBM)」が提唱されています。

EBMとは現段階で最良のエビデンスを用いて、個々の患者さんの状態や環境などを考慮したケアをするための行動指針です。

私は医療だけでなく美容であってもできるだけエビデンスベースのケアが大切だと考えています。

エビデンスベースのケアとは、統計学的エビデンス、科学的エビデンスだけではなく、様々な学問や臨床的な経験などを最大限に活用して、「現状での最良の解」を模索し、選択することです。

みなさんが当たり前のようにしているスキンケア。

スキンケアは日常的な常識的行為なので高いレベルのエビデンスが少ないです。

「エビデンスがないならスキンケアしなくてもいいってこと?」

いやいや、そうではありませんね。

みなさんがスキンケアすることで実感する肌の改善や美肌の維持。

そこに疑う余地はありません。

これらは経験的なエビデンスです。

つまりスキンケアはしないよりしたほうが良いということは周知の事実であり、あえてスキンケアの必要性を評価する美容研究はなかなかできません。

それでもエビデンスレベルの高い分野もあります。

それはドライスキンケア・紫外線対策・清潔ケア。

今回はその中のドライスキンケアについて考えていきましょう。

子どものアレルギー予防にはドライスキンケアが大切」という記事も書いていますが、今回はあらためてドライスキンケアの大切さについて書いていきます。

ドライスキンとは

「そもそもドライスキンってどういう状態なの?」

簡単に言えば肌が乾燥しているということですが、もう少し具体的に考えてみたいと思います。

ここからはドライスキンの本質、問題点、原因についてそれぞれ見ていきましょう。

ドライスキンの本質

ドライスキンとは…

角質に水分を保持する能力が低下することによって皮膚が乾燥した状態のことをいいます。

「冬は乾燥しやすいよね、どうして?」

角層の水分は大気中の湿気や発汗などにより供給されます。

ということは、外気が乾燥し発汗する機会も少ない冬場はドライスキンになりやすいです。

「お風呂入ったりすれば水分は補給されるよね?皮膚もシワシワになるもんね。」

残念ながらそこまで単純ではありません。

入浴などをすると一時的に水分が角層に供給され、ドライスキンは改善しますが、30分もすると水分は蒸散してドライスキンに戻ってしまいます。

つまり水分をたくさん供給してもドライスキンは改善しないのですから、水分の供給不足が問題ではありません。

すなわち

水分を角質に保持する能力が低下していること

まさにこのことがドライスキンの本質です。

ドライスキンの問題

「肌が乾燥してるとなぜか痒い気がするんだけど。」

ドライスキンは見た目の問題以外に、皮膚バリア機能低下が問題となります。

皮膚が乾燥すると、皮膚のバリア機能は低下するのでアレルギーや感染が引き起こされやすくなります。

さらに、乾燥するとかゆみの過敏が惹起されますし、かゆみは皮膚を掻く行動を誘発します。

かゆみと掻破の悪循環はさらにかゆみを増強させるので、ドライスキンは肌にとっては不利益でしかありません。

この負のスパイラルに陥らないようにドライスキンはしっかりケアしていきましょう。

ドライスキンの原因

「どうしてドライスキンになるの?気をつけた方がいいことあるのかなぁ。」

ドライスキンの要因は、加齢やホルモンバランスの変化、乾燥によるものが大きいです。

皮脂腺からの皮脂分泌の減少や角質の構成成分である角質細胞間脂質のセラミド、天然保湿因子(NMF)の減少がドライスキンに関連していると考えられています。

過度の洗浄による皮脂の損失や垢すりなどによる物理的角層の破壊はドライスキンの悪化の要因になります。

またエアコンや暖房などによる低湿度の住居環境もドライスキンの原因となります。

生活習慣や生活環境を見直していくことは大切なドライスキン対策になります。

ドライスキンケア

前述したようにドライスキンには多くのデメリットがあるので、ドライスキンの予防や治療が重要になってきます。

ドライスキンは進行すると「かゆみ」の原因になりますが、しっかりと保湿することで予防できます。

ただ「かゆみ」の原因はドライスキン以外でもいろいろな疾患で起こりうるので、そういった疾患がないことを診断してもらってください。

特に問題となる疾患がなくドライスキンとわかれば、いざスキンケア。

効果の高い保湿剤

ドライスキンケアの基本は保湿。

効果の高い保湿剤を使ってしっかり保湿しましょう。

保湿剤は化粧品や医薬部外品、一般用医薬品(OTC医薬品)、そして医療用医薬品(処方薬)があります。

処方薬とは医師の診断のもと、医師が処方せんを発行して、薬剤師が調剤した薬のことです。

これに対して処方せんは必要とせず、薬局・薬店で自分で買えるくすりをOTC 医薬品と呼びます。

OTC医薬品は全額患者負担になりますが、保険適用される処方薬は1~3割の患者負担ですみます。

処方薬はもちろん美容目的では処方されないですし、保険適用もされませんが、アレルギー体質のドライスキンの方やドライスキンで痒みのある方のスキンケアは美容目的にはあたりません。

こういった方々はしっかり受診して、皮膚炎にならないようにケアしましょう。

ちなみにニキビには保湿剤の使用は推奨できないので注意してください。ニキビのスキンケアについては今後別に記事にしていく予定です。

「保湿剤っていろんな種類あるよね?何を選べばいいのかなぁ?」

論文にはこう書かれています。

ドライスキンの皮膚バリア障害の治療などで最適な効果を得るためには、数多く存在する保湿剤から適切な組み合わせを選ばなければいけないと言われています。Lodén M. Am J Clin Dermatol. 2003 ; 4 (11) : 771-88.

様々な種類の保湿剤が販売されていますが、臨床現場では症状に合わせて使い分けされます。

軽いドライスキンの場合は、医師や専門家と相談しながら、症状や部位に合った化粧品やOTC医薬品の保湿剤を選びましょう。

特に顔の皮膚は他の場所よりもデリケートですし、一人ひとり肌の状態も違うので、顔の保湿剤は出来る限り専門家と相談しながら選びましょう。

アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患がある方はなるべく自己判断しないで医師と相談しながらスキンケアしていくことを心がけてください。

保湿剤の種類は後述していますので参考にしてください。

保湿剤は1日2回以上

「保湿剤って何回も塗ったほうがいいのかな?」

アトピー性皮膚炎の患者さんのデータではありますが、1日1回より1日2回塗った方が保湿効果が高いことが報告されています。大谷 真理子ほか. 日皮会誌 2012 ; 122 : 39-43.

日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎治療ガイドラインでも保湿剤は1日2回とされています。

医師の指示や商品の説明書などで1日1回とされている場合を除き、保湿剤の使用は1日2回以上として下さい。

保湿剤の成分が同じでも、効果が違うことがあるので注意

「同じ成分が入ってる保湿剤っていっぱい種類があるんだけど、何選んだらいいの?どれでもいいの?」

保湿剤の主成分がたとえ同じであっても、基剤の種類や組成が違っていたり、異なる剤型だったりすると効果が違ってくることがあります。

化粧品などでは保湿成分の配合量が分からないことも多く、効果的な量が配合されていない可能性もあるので注意してください。

入浴は低めの温度・部屋の湿度は30%より高め

「お風呂は熱めの温度が好き!」

「冬は寒いから熱いお風呂に長く入っちゃうよね。」

「加湿器のお手入れってめんどくさいから使わない。」

こういった方は要注意です。

入浴の温度が43℃だと水分蒸散量が増加して、角層水分量が低下することが報告されています。岡田 ルリ子ほか. 愛媛県立医療技術大学紀要 2006 ; 3 : 45-50.

この現象は40℃以下では認められなかったとのことです。

角層水分量と湿度の関係についても報告されていて、相対湿度が30%以下だと皮膚の乾燥が見られると報告されています。Sunwoo Y, et al. J Physiol Anthropol. 2006 ; 25 : 7-14.

ドライスキンを防ぐためには、入浴温度や室内の温度にも注意しましょう。

保湿剤の分類

保湿剤にはエモリエントとモイスチャライザーに分類され、それぞれ処方薬、医薬部外品、化粧品として使われています。

ここからは保湿剤の分類ごとに特徴を見ていきましょう。

処方薬について注意点

処方薬は保険適応以外の目的では処方できないので、美容目的では使用できません。

以前より保険が適応される保湿剤として美容目的のヒルドイド使用が問題となり、今でもヒルドイドの適正使用が求められています。

その一方でアトピー性皮膚炎患者さんやがん治療の患者さんのようにヒルドイドなどの保湿が必要な方たちが多くいます。

そういった方たちへの保湿剤の処方が制限されないように、適正使用の推進をしていかなければいけないと思っています。

もちろん処方薬は薬ですから副作用もありますので、処方医の指示に従った使用を心がけてください。

保湿剤/エモリエント

保湿剤にはエモリエントとモイスチャライザーの2種類に分類されます。

エモリエントは表皮に油脂膜をつくって体内からの水分蒸発を防ぎ角質を柔らかくします。

ワセリンなどがその代表です。

肌の保湿能は皮脂腺から分泌されて角質を覆う皮脂によって保たれています。

ただ年齢などさまざまな要因で皮脂が減少してしまうと角質の水分が蒸発しやすくなり肌はどんどん乾燥していきます。

この皮脂の代わりとなるのがエモリエント。

エモリエントは他の保湿成分は含まれず、あくまでも皮脂の代わりです。

皮膚を保護したり水分の蒸発を抑えるものと考えてください。

逆にいえば余計なものがほとんど含まれていないので、接触性皮膚炎にはなりにくいです。

エモリエントは病院で受診して処方してもらえるものがほとんどです。市販で買えるものはワセリン類と亜鉛華軟膏だけになります。

ちなみにエモリエントクリームといわれる化粧品がいくつか販売されていますが、こういったものはエモリエントではなく、モイスチャライザーの分類になります。エモリエントクリームよりモイスチャークリームといってもらった方が分かりやすいですね。

エモリエント/処方薬

基本的に処方薬は医師の診断に応じて必要なものが処方されます。

しっかり医師の指示に従って使用してください。

ワセリン(黄色ワセリン、白色ワセリン、プロペト)

代表的なエモリエントです。

ベタつきはあるので使用感が苦手な方もいますが、不純物が少ないので敏感肌の方でもつかえます。

ワセリンについては別の記事で詳しく書いています。こちらの記事を参考にしてください。

OTC医薬品も販売されています。

プラスチベース

ワセリンより温度変化を受けにくく、伸びも良く唇の保湿などな使われます。

混合型クリーム

ヒューメクタント(保湿成分)を含まないのでエモリエントの分類。

モイスチャライザーでは刺激が出るような方の顔の保湿に使えますが、OTC医薬品はないので医師の処方が必要です。

モイスチャライザーで刺激を感じたり炎症してしまう方は適切な治療が必要なので受診しましょう。

・親水クリーム
O/Wクリーム:白色ワセリン、ステアリルアルコール、プロピレングリコールなど
・吸水クリーム
W/Oクリーム:白色ワセリン、セタノール、サラシミツロウ、セスキオレイン酸ソルビタンなど
・親水ワセリン
W/Oクリーム:サラシミツロウ、ステアリルアルコール、コレステロールなど

※W/O型:油中水型、O/W型:水中油型 詳しくは界面活性剤の解説のページを参考にしてください

亜鉛華軟膏(20%)・亜鉛華単軟膏(10%)

油脂性基材: 酸化亜鉛、白色軟膏など
抗炎症作用や収れん作用などがありますが、乾燥作用もあるので長期の使用は避ける。

亜鉛華軟膏(20%)と亜鉛華単軟膏(10%)は、酸化亜鉛の含量と基剤が異なりますが、効能効果は同じです。

亜鉛華軟膏の白色で光沢があり、亜鉛華単軟膏は淡黄色で、わずかに特異なにおいがあります。

亜鉛華軟膏は浸出液を吸収するが、亜鉛華単軟膏はほとんど吸収しないので浸出液が多い場合は亜鉛華軟膏が適しています。

OTC医薬品

薬局、インターネットで購入可能な医薬品です。あまり種類はありませんが見ていきましょう。

ワセリン(黄色ワセリン、白色ワセリン、プロペト)

ワセリンはOTCでも購入できます。

ワセリンについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

亜鉛華軟膏(20%)

薬局で購入できるエモリエントはワセリンと亜鉛華軟膏のみです。

処方薬と市販薬に違いはありませんので、処方薬と同じように使えます。

化粧品

ワセリン(サンホワイトP-1、サンホワイトシルキーY-1)

どのワセリンより純度が高いですが、高価です。

ワセリンの用途

エモリエントの代表格ワセリン。

前述のとおりワセリンはベタつくので使用感が苦手な方もいると思いますが、うまく付き合うことができれば頼もしい味方となります。

ワセリンの使い方についてはこちらの記事で詳しく書いていますので参考にしてください。

保湿剤/モイスチャライザー

モイスチャライザーは天然保湿成分(NMF)など水分を保持する作用のヒューメクタントが含まれ、減少したNMFを補って保湿作用を発揮します。

モイスチャライザーの効果は論文でも発表されたりしています。

アトピー性皮膚炎の患者39人を対象にした研究ではありますがグリチルリチン含有、セラミド含有、ワセリン系それぞれの保湿剤で効果に差は無いと報告されています。ただ対象数が少ないのでなんとも・・・。Miller DW, et al. J Drugs Dermatol. 2011 ; 10 : 531-7.

エモリエントよりモイスチャライザーのほうが保湿効果が高いとされています。野澤 茜ほか. 日皮会誌 2009 ; 23 : 1267-72.

アメリカの処方薬として使われているセラミド含有保湿剤のEpiCeramはアトピー性皮膚炎患者に対してステロイドの軟膏と同等の効果があると言われています。Sugarman JL, et al. J Drugs Dermatol. 2009 ; 8 : 1106-11.ただし、他のセラミド含有保湿剤に同じような効果があるということは言えないので注意してください。

アトピー性皮膚炎の再発予防には保湿成分(この研究では尿素)を含有している方が有効であることも報告されています。Åkerström U, et al. Acta Derm Venereol. 2015 ; 95 : 587-92.

アトピー性皮膚炎患者のデータばかりですが、一般の方たちにとってもモイスチャライザーのスキンケアは効果的なのだろうと個人的には考えています。

モイスチャライザーにはいろいろな種類があり、症状によって使い分けされています。

モイスチャライザーの種類
・ヘパリン類似物質尿素ビタミンAセラミド

ここからは日本で手に入るモイスチャライザーについて詳しく見ていきましょう。

ヘパリン類似物質

代表的な商品:ヒルドイド(処方薬)

ヒルドイドという名前は聞いたことがあるのではないでしょうか?

保険の効く基礎化粧品として有名になり社会問題にもなりました。今では処方制限があり美容目的では保険適応されません。

処方薬でドライスキンの適応が唯一あるヘパリン類似物質含有製剤は、保湿効果が高くエビデンスもたくさんあります。

剤形もいろいろあり、油中水型クリームや水中油型ローション、水性フォーム剤など使い勝手もいいです。

また処方薬でも先発品のヒルドイドとジェネリックでは、使用感や保湿効果も違ったりしますので、医師と相談しながら商品や剤形を選ぶといいと思います。

基本的に安全性は高く、顔も含めて全身に使うことができる保湿剤です。ただし眼や潰瘍、びらんなどの場所には塗らないようにしてください。

まれに皮膚に発赤や紅潮が現れることがありますので、そういった場合は使用をやめましょう。

また肌の状態によっては顔は塗らないでと言われる医師もいますので、医師の指示はしっかり守ってください。

OTC医薬品や医薬部外品の商品もありますが、基本的な特徴は一緒です。

ただ商品によってはヘパリン類似物質以外に別の成分も含まれていますので、購入するときは成分表記をしっかり確認してください。

ヘパリン類似物質についてはこちらのページで詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

尿素

代表的な商品:ケラチナミンクリーム(処方薬)

尿素は角質の軟化作用や保湿作用があるので、ハンドクリームや化粧水などに使われています。

処方薬では老人性乾皮症や魚鱗癬などに対して、足や手に使われています。

尿素の濃度が10%以上になると角質の溶解剥離作用が高くなるので、ときに刺激を感じることもあります。

基本的に医薬品や処方薬やOTC医薬品は10%以上あり、角質が硬く肥厚した肌を柔らかくして剥離するために使われますが、顔への使用は刺激が強いので避けてください。

10%以下の濃度では角質剥離作用は弱くなり、保湿作用がメインとなります。

濃度が薄いものは肌の刺激も弱くなりますので顔への使用も可能になります。

ただし尿素は角質のケラチンタンパクを溶かして、角質を柔らかくすることで柔軟効果と保湿効果を発揮します。

他の保湿剤とは違うこの特徴から顔への積極的な使用は控える傾向にありますが、尿素が配合された化粧水や美容液の愛用者もたくさんいます。

ただ、5%の濃度でも刺激があるといったデータもありますので、顔への塗布は慎重であるべきだと思います。

すでに使用していて肌に合っている方はいいですが、新たに顔に使おうと思っている方は様子を見ながら慎重に塗ってください。

少なくとも尿素の濃度が10%を超えると角質剥離作用がメインになるので、膝やかかと用の商品を顔に塗るのは避けてください。

尿素の詳しい情報についてはこちらのページを参考にしてください。

ビタミンA(レチノール)

代表的な商品:ザーネ軟膏(処方薬)

ビタミンAの化粧品や医薬品は商品によって用途が全く違うので注意が必要です。

処方薬のザーネ軟膏は保湿剤として角化性皮膚疾患に使われます。

一般用医薬品も角化性皮膚疾患用の商品がいくつか販売されています。

一方、保湿剤ではなくニキビの治療薬に使われる商品もあります。

ディフェリンゲルはニキビ治療のガイドラインに推奨されているビタミンA誘導体アダパレンの処方薬になります。

そして美容業界で注目を浴びているビタミンAとして、アンチエイジング用の医薬部外品や化粧品があります。

資生堂のエリクシール、プロティア・ジャパンのエンビロン、ドクターコスメのひとつゼオスキンヘルスなどがこれにあたります。

ビタミンAであるレチノールは体内で活性体のレチノイン酸に変換され効果を発揮します。

レチノイン酸の作用はいろいろありますが、表皮においては表皮角化細胞の増殖促進作を示します。

真皮においては線維芽細胞のコラーゲン、エラスチン産生促進などの作用があります。

こういった作用でシワが減少し、皮膚にハリが生まれるとされています。

また表皮角化細胞の増殖促進に伴う表皮のターンオーバーよる脱色素効果でシミが薄くなると言われています。

ビタミンAは保湿剤以外の用途で使われることも多く、話が脱線してしまうのでここでの詳しく解説は避けたいと思います。「美白やニキビに対してのスキンケア」に関しての記事は、別で書いているので興味がある方はぜひチェックしてみてください。

とりあえずドライスキンケアに対するビタミンAの役割は角化症への治療になります。

表皮のターンオーバーを促しケラチン形成抑制させることで角化症に効果を発揮させます。

このような商品は処方薬や一般用医薬品でありますので、皮膚科のクリニックや薬局で相談して入手してください。

セラミド

皮膚の表面は約0.2mmの表皮。

さらに表皮の最も外側は約0.02mmの角質層で覆われています。

セラミドは角質層にある角質細胞間脂質の一種で角質の水分保持に関わる脂質です。

セラミドは保湿効果を期待されて、いろいろな化粧品に使われています。

セラミドの保湿剤を選ぶときのポイントがいくつかあるのでみていきましょう。

セラミドについてもっと詳しい記事も書いていますので参考にしてください。

セラミドの種類

セラミドは大きく分けると「ヒト型セラミド」「天然セラミド」「植物性セラミド」「合成類似セラミド」の4種類に分類されます。

今ではヒト型もしくは類似型のセラミドを含有した商品が多いのではないでしょうか。

ヒト型セラミド

ヒト型セラミドは最も安全で高い保湿効果が期待できるとして開発されてきました。Murakami S, et al. Sci Rep. 2015.

ヒト型セラミドはバイオセラミドとも言われ酵母などを利用して作られたセラミドで、人の肌にあるセラミドとほぼ同じ構造をしています。

肌馴染みがよく、保湿や浸透力に優れていて安全性が高いとされています。

これまでは水などに溶けにくく結晶化しやすいことから、高い濃度のヒト型セラミドを化粧品に配合することは困難されてきました。

しかし研究が進むにつれてヒト型セラミドを効果的な形で商品化できる企業が現れてきました。

ヒト型セラミドは理想的なセラミドですが、商品化するには高度な技術が必要になるので、信頼できる企業の商品を選ぶことがポイントになります。

化粧品に使われるヒト型セラミドは「セラミドEOP(セラミド1)、NG(2)、NP(3)、EOH(4)、AG(5)、AP(6Ⅱ)、EOS(9)」に分類されます。

特にセラミドNG(セラミド2)は保湿効果が高いとされる重要な成分になります。

合成類似セラミド

石油原料から化学合成されたセラミドに似た保湿成分で、「擬似セラミド」とも呼ばれ、安価に大量生産を行うことが可能です。

ヒト型セラミドと比べると効果は劣ってしまいますが、商品によってはしっかりした保湿効果がありますのでそういった商品を選びましょう。

保湿剤の基材・技術

セラミドは水などに溶けにくいので、乳化した商品が多いですし、化粧水などには効果的な量のセラミドは配合できません。

そうした状況の中、各メーカーはナノ技術などを使った商品開発によって高濃度のセラミドを配合できるようになってきています。

商品を選ぶときはセラミドの種類だけでなく使われている技術も考慮したほうがいいと思います。

配合量

効果を考えるとセラミドがどれだけ配合されているかも重要だと思います。

ただ配合量が明記されている製品はあまり多くありませんので商品の成分表示の欄を確認しましょう。

成分表示には配合量が多い成分から順に表記されているので、セラミドが最初の方にあることを確認しましょう。

今のところセラミドの適正な配合量は分かっていません。

セラミドの保湿効果は論文などで報告されていますが、配合量に言及されたものはほとんどないのが現状です。

セラミド以外の成分

セラミドの保湿効果はいくつかの論文で報告されていますが、セラミドだけで保湿効果が得られるわけではありません。

セラミドがしっかり効果を発揮するためには、コレステロール、脂肪酸などを配合して角質細胞間脂質に似せたり、他の保湿成分を適切に組み合わせることが重要です。

セラミドの効果をアピールしている商品を選ぶときは他の成分にも注目して下さい。

セラミドに関してより詳しく書いた記事がありますので、ぜひ参考にしてください。

まとめ

ドライスキンは見た目だけではなく、かゆみやアレルギー疾患、感染症などいろいろな不利益を引き起こすことがあります。

適切なドライスキンケアをしましょう。

ドライスキンケアの基本は保湿であり、いろいろある保湿剤の特徴や違いを知ったうえで適切な保湿剤を選びましょう。

処方薬、OTC医薬品、化粧品でそれぞれ同じ成分の商品であっても濃度や他に使われている成分に違いがあるので、商品を選ぶときは成分表記を確認する習慣を身につけるといいと思います。

正しいスキンケア方法を身につけて健康的な肌を手に入れましょう。

ドライスキンケア以外にも美しい肌を手に入れるために、気をつけなくてはいけないことはたくさんあります。「美しい肌とは何か?」「美しい肌になるために何をしたらいいの」と思った方はぜひこちらの記事もご覧ください。

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