このブログの別の記事で「コーヒーが健康にいいかも」ということを書いてきました。
「健康が大切なのはわかるけど今は美容が大切!」
「コーヒーは肌にいいの?悪いの?」
ここではそんな人のためにコーヒーの美容への効果について書いていきます。
好きなコーヒー飲んで美容にも良ければ最高ですが…
実際にはどうでしょうか?
脂肪燃焼効果
コーヒーには脂肪燃焼効果があると言われています。
どういった機序でどの程度の効果が得られるのでしょうか?
痩せられる効果は?
コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸)
コーヒーの話の前にポリフェノールについて少し。
ポリフェノールはほとんどの植物に存在する苦味や色素の成分です。
ビタミンCやビタミンEと同様に強い抗酸化作用があり、動脈硬化など生活習慣病の予防に役立つとされています。
お茶に含まれるカテキンやワインなどに含まれるアントシアニンといったようにポリフェノールには独自の機能も。
ポリフェノールはすぐに体外に排泄されてしまうので毎日こまめに摂取することで効果がでます。
コーヒーにはクロロゲン酸というポリフェノールが豊富に含まれています。
クロロゲン酸については花王がいろいろと研究しているようです。
クロロゲン酸の内臓脂肪低減効果についても論文を出していました。
・BMI30未満、内臓脂肪面積80~170㎠未満の20~65歳の男女(109名) ・クロロゲン酸飲料群(クロロゲン酸297mg/缶)とプラセボ飲料群(クロロゲン酸2mg/缶)の比較(カフェインはともに81mg/缶) ・12週間、1日1缶摂取 ・クロロゲン酸飲料群の内臓脂肪面積は、投与開始前と比較して有意に減少 (−4.4±2.1 vs 3.6±2.3 ㎠) ・ウエスト周り(1.8±0.2 vs 0.0±0.2 cm)、BMI(0.6±0.1 vs -0.1±0.1 kg/㎡) 薬理と治療 Vol.37 no.4 2009(333‐344)
この論文からコーヒーポリフェノールのクロロゲン酸が脂肪を消費しやすくする可能性があることはわかりました。
コーヒー1杯(約140mL)には約280mgのポリフェノールが含まれるので、コーヒー1杯でこの論文と同等の効果が得られるかもしれません。
この論文ではコーヒー2杯以上飲んだときの脂肪燃焼効果は分かっていないので、あくまでも一杯だけの効果と思ってください。
ダイエット目的で飲みすぎると効果がないどころかカフェイン中毒のリスクになってしまいますので気をつけましょう。
1日あたりのコーヒー摂取の上限の目安は
成人:5杯前後
妊婦:2〜3杯
たとえ健康目的でコーヒーを飲むとしてもこの目安を超えた飲みすぎには十分注意してください。
この論文のデータを元に花王はヘルシアコーヒーを販売しているようです。
みなさんはご存知でしょうか?
ヘルシアコーヒーに含まれるカフェインとポリフェノールの成分量です。
ヘルシアコーヒー(無糖ブラック/微糖ミルク)
【主要成分】
(1本(185g)当たり)
カフェイン・・・90mg
クロロゲン酸類(5-カフェオイルキナ酸として)・・・270mg
普通のコーヒーとほとんど同じ成分内容と成分量だと思います。
ただ花王は論文のデータをもとに製品開発しているのでエビデンス面ではヘルシアコーヒーが優位だとは思います。
ヘルシアコーヒーを脂肪燃焼目的で飲むのでしたら、飲み過ぎによるカフェインの過剰摂取に気をつけましょう。
脂肪燃焼効果については最近こんな発表も。
カフェイン
体内脂肪を燃焼させる“褐色脂肪細胞”の機能促進効果 ・マウスとヒトの細胞培養実験 /カフェイン処理された細胞で“褐色脂肪細胞”機能のマーカーとなるものを活性化 ・ヒトの生体内実験/ コーヒー(カフェイン65mg含有)服用9人と水服用9人の比較 服用後の鎖骨上(褐色脂肪細胞が多い)温度がコーヒー服用すると上昇 体内脂肪を燃焼させる“褐色脂肪細胞”をカフェイン、コーヒーが活性化させる可能性かも。 Velickovic K, et al. Sci Rep. 2019 Jun 24.
もしかしたらポリフェノール以外にカフェインにもダイエット効果があるのかもしれません。
今のところコーヒーのダイエット効果のデータはわずかしかないので、期待しすぎないほうがいいでしょう。
コーヒーを楽しく飲んで痩せたらラッキーくらいの感覚がベストだと思います。
皮膚への影響
ポリフェノールの酸化防止効果は肌にいいとされています。
「だったらポリフェノールを含むコーヒーも肌にいいのでは?」
と思われています。
さて実際はどうでしょうか?
コーヒーポリフェノール
ポリフェノールには抗酸化作用があるので、コーヒーにはシミやしわの予防効果があると言われています。
コーヒーポリフェノールの効果はいかに?
乾燥肌への効果
花王はコーヒーポリフェノールの肌への効果も検討しているようです。
コーヒーポリフェノール(CPP)のヒトの皮膚への影響 ・軽度の乾皮症の女性49人 ・CPP群(CPP270mg/100mL/日)とプラセボ群(CPP0mg/100mL/日)の比較 ・8週間投与、1日100mL摂取 ・CPP摂取により ①下頬の皮膚バリア機能改善(CPP群:8週後TEWL21%低下、有意差あり) ②下頬の角質層をみずみずしくする(CPP群:角質層水分量は有意に増加(4週間後<8週間後)に有意に増加、8周後でプラセボより46%多い) ③下頬表面のpH低下(酸性に傾く) Fukagawa S, et al. Biosci Biotechnol Biochem. 2017.
医薬品でエビデンスのあるヒルドイドソフト軟膏のTEWL変化が2倍程度、角質水分量の変化が5倍以上というモルモットのデータがあります(土肥 孝彰 ら:西日皮膚, 74(1), 48-56, 2012) 。
もちろんこれに比べればCPPの肌への効果は少ないです。
それでも保湿効果に期待を持てる結果だといえます。
他にもデータはあります。
・25〜35歳の乾燥肌の女性31人 ・CPP群(CPP297.8mg/100mL/日)とプラセボ群(CPP0mg/100mL/日)の比較 ・4週間投与、1日100mL摂取 CPP摂取によって ・乾燥したうろこ状の皮膚をスベスベに改善 ・冷えた肌の血流を改善 Kagawa D, et al. Biosci Biotechnol Biochem. 2018.
コーヒーポリフェノールが乾燥肌の人の肌を改善させるかもしれませんね。
これ以外にもたくさんデータがあると信頼性が上がりますが、残念ながら見つけられませんでした。
今後に期待。
紫外線ダメージに対する効果
乾燥肌に対してのデータはありました。
ではシミやシワに対する効果はあるのでしょうか?
データは?
ヒトを対処にした実験は見つけることができませんでしたが、マウスの実験がありました。
・マウスに紫外線(UVB)照射 ・紫外線による皮膚炎と色素沈着に対する保護効果 ・カフェ酸(100mg/kg/日)とクロロゲン酸(100mg/kg/日)とプラセボの比較 ・カフェ酸だけが保護効果あり Yamate Y, et al. Skin Pharmacol Physiol. 2017.
この研究はヒトを対象にしていません。そしてコーヒーポリフェノールの摂取量が普通よりかなり多いです。
ですのであくまで参考程度にしかなりません。
とりあえず現段階ではコーヒーポリフェノールがシミやしわに効果があるとはっきり言える段階ではないですね。
今後さらなる研究結果が出ることに期待したいですね。
カフェイン
コーヒーに含まれるカフェイン
コーヒーの情報を探していると、「アレ?」と思う情報が。
メラニンを拡散してシミを増やす?
紫外線を多く浴びる人はコーヒーのカフェインによってシミが増えてまう可能性があるとのことです。
ただ論文を検索してもカフェインとメラニンについて有力な情報を見つけることはできませんでした。
さらにネットを検索していると
カフェインがビタミンCを破壊?
といった情報も。
ビタミンCは酸化防止作用によってメラニン合成を阻害することが知られています。
ですのでカフェインによってビタミンCが分解されてしまえば問題です。
ですが…、
そのような類の論文も見つけられず。
カフェインがシミに良くないといったデータは今のところないと思います。
最後に…
カフェインの利尿作用とビタミンC排泄
カフェインには利尿作用があると言われています。
実際はどうでしょうか?
低用量から中用量のカフェインでは利尿作用はなく、大量のカフェインを一気に摂取すると利尿作用により脱水症のリスクが起きてしまうことがあるようです。 Seal AD, et al. Front Nutr. 2017.
「コーヒー飲むとおしっこがたくさんでるからビタミンCが減ってしまう」
と考えられる方もいると思いますが、
大量のカフェインを一気に摂取しなければ、特に問題にはならないでしょう。
さらに…
コーヒーに関係なく利尿作用で多少おしっこが増えたとしても、普通の食生活をしていればビタミンC不足になる心配はないはずです。
ただ日ごろからビタミンCが不足していると思っている人は、積極的にビタミンCの摂取を心がけるといいと思います。
とりあえず今のところカフェインが直接肌に影響を与えることはないのではないでしょうか。
まとめ
数は多くありませんがコーヒーの美容関連の研究を見つけることができました。
ただ国内だけでなく海外でもデータは限られていて、肌や脂肪燃焼にどれだけ効果があるかはっきりしていません。
ということを念頭に、
「もしかしたらコーヒーが美容にとっていいことがあるかも。」
といった程度にコーヒを飲むといいと思います。
美容目的で飲み過ぎないように気をつけて、コーヒーライフを楽しんでください。
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