スキンケアに必須?ナノカプセルの技術!

スキンケアに必須?ナノカプセルの技術!

この記事では化粧品に使われているナノカプセルという技術とその技術が使われている商品を紹介しています。

どの分野でも技術の進歩はすごいですよね。医薬品に携わる仕事をしているので医療や薬の発展は実感していますが、化粧品の技術も日進月歩で進化していて感心しています。

私が化粧品について調べるようになって驚いた化粧品の技術にナノカプセルというものがあります。有効成分を素早く肌の奥まで届けるために、ナノカプセルという技術が化粧品に使われています。

薬剤師の私としてはリポソームという言葉が聞き慣れた技術なのですが、みなさんはリポソームという言葉は聞いたことがあるでしょうか。

私は病院勤務時代、特にICU配属時に真菌感染症の治療で大変お世話になった技術です。

リポソームとは…

両親媒性脂質分子の二分子膜からなる微小胞。

この小胞、カプセルの内側に水性画分を有しており、有効成分をリポソームの脂質二分子膜に封入して製剤化されます。

リポソーム製剤は多くの場合において有効成分の生体内での安定性や組織移行性の改善を目的として設計されています。

難しく書いていますが、要は油にも水にも溶ける特徴を持つカプセル内に水溶性の成分を閉じ込めて、安定的かつ効率的に目的組織に有効成分を届ける技術です。

この技術が化粧品で昔から活用されていたなんて!

化粧品の技術力には本当に驚かされます。

このリポソームの技術を使っているコーセーのリポソーム。

リポソームではほとんどの場合、リン脂質と言われる脂質が使われています。

セラミドを骨格の一部に持つリン脂質のスフィンゴミエリンが有名ですが、この商品ではそれとは別のリン脂質のレシチン(ホスファチジルコリン)でリポソーム化しています。

セラミドについては詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

データも論文でいろいろ公開されていてますが、すごい技術だということが分かります。
リポソームの技術:内藤 昇. 膜 2006 ; 31 (4) : 221-223.
リポソームとシート状ラメラゲルの技術紺野 義一. 日本化粧品技術者会誌 2011 ; 45 (2) : 83-91.
リポソームの臨床効果:原田 敬之. 皮膚 1994 ; 36 (5), : 697-706.

ちなみにコーセーのホームページでリポソームの分かりやすい解説が掲載されています。ぜひ参考にしてください。

このリポソームの技術が使われている化粧品がこちらになります。

高価ですが、これだけの技術を使っているのだから当然だと思います。

保湿効果は高いですし、この技術の高さに触れるという意味でも使ってみる価値があると思います。

このリポソームの技術、美白成分を効率的に肌に届けるために美容液にも活用されていて、その一つとしてトランシーノがあります。トランシーノのホワイトニングエッセンスEXⅡ(美白美容液)は、美白有効成分として承認されているトラネキサム酸をリポソームで浸透性を向上させた製品です。

ナノカプセルを肌の奥に届けるためカプセルを小さくするらしいのですが、小さくすることで内包できる有効成分が少なくなってしまうという課題もナノカプセルの技術にはあるようです。課題を克服するために各メーカー独自の技術開発をしているので、ナノカプセルと言ってもどれも同じとは思わないほうがよさそうです。それぞれのナノカプセルの技術について注目するのも楽しいかも知れませんね。

美しい肌を手に入れるためには、保湿以外にも大切なケアがたくさんあります。美しい肌になるためのケアについて興味のある方は、こちらの記事もぜひチェックしてください。

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